糖質制限ではお米やパンなどの炭水化物の代わりに肉や魚などのタンパク質、脂質の比率が高くなるので、便秘になるのではないかと心配される方がいます。確かに、肉だけをたくさん食べていれば便秘になりやすくなります。
それはなぜなのか。肉のタンパク質は腸で悪玉菌(ウェルシュ菌、ブドウ球菌など)の餌になり、アンモニアやインドールのような有害物質を作るからです。この物質は腸壁を痛めつけ、腸全体の環境を悪化させます。その結果、腸の蠕動運動も起こりにくくなり、排便する能力が落ちていきます。
便秘を防ぐために
では糖質制限で肉をたくさん食べる場合、どのようにすれば便秘にならないで済むのかを紹介します。
それは食物繊維を不足なく食べることです。厚生労働省が推奨している食物繊維の量は20gから25gですが、ほとんどの人がこの基準に達していません。食物繊維は野菜、海藻、大豆などに含まれており、腸の環境を良くする役割があります。
腸内細菌が野菜に含まれている食物繊維を餌とすることで酢酸、酪酸、カプロン酸を作り出します。これらの酸は腸の蠕動運動を促して、便秘を解消させてくれます。
腸の環境を良くするのは野菜だけではありません。納豆を食べると腸の環境が良くなることを腸の博士 藤田紘一郎教授が本に書いています。納豆菌が善玉菌を増やすことと、大豆自体も腸内細菌の餌になり、腸の環境が良くなるとのこと。
食物繊維の効果は便秘解消だけではない
便秘解消以外の食物繊維の効果を2つ紹介します。
①食物繊維が有害物質を吸着して体外に排出させてくれますので、腸壁も傷つかなくて済みます(参考記事「これから癌が増えるだろうからデトックスをしよう」)。
特に菜の花はデトックス効果が高い野菜ですので、積極的に食べて欲しいです。魚には鉛やPCBなどの有害化学物質が濃縮して含まれており、これらを体外に出すためにも食物繊維を摂ってください。
②慶応義塾大学の伊藤裕教授は「水溶性食物繊維が腸内細菌の餌になり、その結果、血糖値が下がる」という研究を発表しています(参考記事「血糖値を下げる腸内細菌」)。食物繊維が腸内細菌によって分解されると短鎖脂肪酸が産出されるのですが、短鎖脂肪酸には血糖値の抑制効果があるというのです。
以上、肉のデメリットと野菜のメリットを説明しましたが、肉と一緒に野菜も食べないと糖質制限は成り立たないことがお分かり頂けたかと思います。
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