小麦というのは表皮、胚芽、胚乳からできていますが、通常の小麦粉は表皮、胚芽を取り除いて胚乳のみから作られています。表皮、胚芽にはビタミンや食物繊維が多く含まれていますが、ここを取り除いてしまうとほとんど糖質分しか残りません。通常の小麦粉の糖質は薄力粉、中力粉、強力粉によって多少違いますが、成分の約70%が糖質です。
それに対して全粒粉は表皮、胚芽、胚乳を全てすり潰して粉にしますので、食物繊維が豊富です。全粒粉の100g当たりの糖質は約57gです。ですので、通常の小麦粉と全粒粉の糖質量を比べると全粒粉の方が10gほど少ないです。
小麦粉100g当たりの炭水化物は
薄力粉 75.9g(2.5)
中力粉 74.8g(2.8)
強力粉 71.9g(2.7)
全粒粉 68.2g(11.2)
カッコの中は食物繊維の数量※炭水化物=糖質+食物繊維
※糖質=炭水化物ー食物繊維
また、通常の小麦粉のGI値は全粒粉に比べて高いです(参考記事「血糖値を上げやすい高GI食品とは」)。GI値が高いということはそれだけ血糖値の上昇速度が早くなることを意味します。下のGI値は糖質量の順に並んでいることに気付いたでしょうか。全粒粉は通常の強力粉、薄力粉よりも糖質量が少ないので、GI値も低いです。
全粒粉でGI45
強力粉でGI55
薄力粉でGI60
全粒粉のパンを糖質制限でも食べられるか
通常の小麦粉パンと全粒粉パンの糖質の量を比べてみましょう。6枚切りのパン1枚分(60g)の糖質を比べると….
[全粒粉]
炭水化物 28.5g
糖質26.4g
食物繊維2.1g
[通常の小麦粉]
炭水化物 28g
糖質26.6g
食物繊維1.4g
このように糖質量は通常の小麦粉パンと全粒粉パンであまり変わりません。しかし、全粒粉パンは食物繊維やビタミンを多く含んでいますので、健康効果は通常の小麦粉パンよりも高いです。
では糖質制限でパンを食べることができるかどうかですが…..。食パンを2枚食べると仮定すると小麦粉を使ったパン、全粒粉のパンどちらを食べても糖質は50gを超えます。緩い糖質制限の糖質上限値が46.6gですので、これを超えてしまいます。厳しい糖質制限では言うまでもなくパン1枚も食べられません。ですので、糖質制限ではパンは食べない方がいいです。
[糖質制限食の基準]
〇厳しい糖質制限の1日の糖質摂取量は60g以下(1食20g以下)
〇緩い糖質制限の1日の糖質摂取量は70gから140g(1食23.3gから46.6g)
全粒粉を食べることの問題点
野菜、魚、米、小麦粉でも丸ごと食べるほうがバランスよく栄養成分を摂れるので健康には良いです。米であれば玄米、小麦であれば全粒粉。しかし、今の日本では農薬や放射能の問題もあり、そのまま皮を剥かずに食べることは本当にいいのだろうかと思ってしまいます。
魚の場合には内臓や骨に放射性物質が凝縮していますし(もちろん身の部分にも残留します)、お米にも農薬がたくさん使われています。日本の農薬使用量は世界第3位ですので、そのまま皮を取らずに食べることに不安を覚えてしまいます。ですので、無農薬で育てている農家さんから玄米や野菜を直接買うなどの対策をして、丸ごと食べることを心がけてください。
[参考記事]
「農薬の規制緩和で野菜がさらに危なくなった」
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