糖尿病性腎症が増え、人工透析の原因のトップは糖尿病性腎症なっています。そして、人工透析の医療費は一人年間500万円と言われ、国の医療費をたいへんな勢いで圧迫しています。某元アナウンサーが「人工透析は生活の乱れが原因だから、全て自己負担にせよ」と言っていましたが、確かにそういう一面もあると私も思っています。
糖尿病性腎症は5年以上糖尿病を罹患している方に起きることが多い病気です。高血糖状態を長期間放って置くことで起きますが、糖尿病になっても早くから良好な血糖コントロールをしていれば糖尿病性腎症を防ぐことができます。
糖尿病性腎症が悪化すると最終的に透析治療の必要があります。血液透析は平均2日に1度、1回4時間くらいかかり、そのたびに通院する必要があります。人工透析になってもすぐに死に至るわけではないのですが、たいへんな生活の質の低下を招きます。何よりも 自由にのびのびとあちらこちらに出かけていた方にはたいへんなストレスになることが想像に難くありません。
では糖尿病性腎症になり、人工透析へ至る過程について説明していきます。
糖尿病性腎症のステージ
糖尿病性腎症は5ステージで進行が分類されています。各段階で食事などの生活習慣を改善することで進行を遅らせることができます。
第1期(腎症前期)
糖尿病性腎症になるとタンパク尿(アルブミン)が出るようになりますが、腎症前期の段階ではまだ正常です。タンパク質は人にとって非常に大事な栄養成分ですので、タンパク尿が出るということは腎臓の機能が衰えている証拠になります。
eGFRと言われる「腎臓が老廃物を濾過する能力度合い」も特に問題はありません。eGFRは90以上が正常で、30未満になると腎臓の機能はほぼ壊れている状態になります。
この段階で血糖値のコントロールができれば腎臓機能の悪化を防ぐことができます。糖質制限や運動をするなどして血糖値の変動を抑えることがカギです。
また、腎臓が悪くなると血圧が高くなる傾向があるので、第1期では減塩生活をしようかなと考え始める時期です。
第2期(早期腎症期)
進行が止められないとタンパク尿の数値が30から299mg/gCrまで上がってきます(正常値が30mg/gCr未満)。
また、徐々に弱っている腎臓が塩分を外に排出できなくなり始めます。ですので、第1期より塩分をもっと減らす必要が出てきています。味が薄くなりすぎて食事を苦痛に感じないように工夫が必要になります。もちろん、第1期と同じく血糖値のコントロールが必要です。
第3期(顕性腎症期)
いよいよタンパク尿がずっと高いまま戻ることがなくなってきます(タンパク尿の数値が300mg/gCr以上)。お肉類も減らしてくださいと言われ始めますが、糖質制限の江部康二先生によると糖尿病腎症第3期までは糖質制限OKとのことです。しかし、医師によっては肉などのたんぱく質は控えるように言われます。
糖尿病腎症第3期Aまでは、腎臓病学会、糖尿病学会ともに、たんぱく質制限食は必要ないという見解です。
1)GFRが60ml/分以上の場合は、タンパク質制限の必要がないので、糖尿病腎症でも、普通にスーパー糖質制限食を実践してよい。
2)GFRが60ml/分未満の場合は、よく相談して糖質制限食を実践するかどうか個別に対応する。
3)GFRが60ml/分未満で、スーパー糖質制限食を選択開始した場合、毎月腎機能検査を実施して、血清クレアチニン値を測定し、その結果でスーパー糖質制限食を継続するか否かを決める。
江部康ニ先生のサイトより引用
第4期(腎不全期)
この段階はいわゆる「腎不全」です。eGFRは30未満です。お医者さんには食塩に加えてカリウムも制限してくださいと言われます。生野菜を多く食べるとカリウム値が上がることになりますので制限を受けます。野菜は茹でて、その汁を捨てるようにしなくてはならなくなります。少し調理の時間が増えるので食事担当者の協力がカギになってきます。
最近はカリウムの少ない低カリウムレタスのような野菜も販売されていますので、上手く活用するといいでしょう。
第5期透析治療期
いよいよ人工透析をうけることになります。透析病院を紹介されますが、先ほど述べたように高頻度で長時間拘束されるので継続が可能でライフスタイルに合った病院を選ぶことになります。病院が遠い場合、病院に行き、治療するだけで生活のほとんどがついやされてしまいます。働く世代の方は駅前などにある透析病院で仕事帰りに行き7時から11時という具合に透析治療を受けている人もいます。
まとめ
不運にも高齢になって遠い透析病院に通う生活は本当に大変です。糖尿病と診断を受けてからは血糖値を良好にコントロールして、糖尿病性腎症を予防することが大切です。そのための食事は糖質制限が最適です。糖質の恐ろしさは最終的には人工透析という結果を導きますので、健康の時から糖質管理をしていきましょう。
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