「肉は消化が悪く、お米やパンは消化がいい」と思っていませんか。実際は逆です。
まちだクリニック(胃カメラ専門病院)の町田宏さんによると胃カメラの最中に食べ物が映る場合、大抵はご飯や麺などの炭水化物で、肉や魚が残っていることはほとんどないそうです。
まちだクリニックでは胃カメラをする時には前日の夜8時以降は食事をしない決まりになっているそうなので、胃の中に炭水化物が最低でも13時間以上残っている計算になります(以下は胃の中の写真です)。
胃の中での滞留時間は炭水化物で2時間から3時間、タンパク質で4時間から5時間だと言われていますが、実際は違うようです。
なぜ、何十時間と経っていても胃の中には炭水化物が残っていて、肉や魚が残っていないのか。それは胃には炭水化物を消化する酵素はないからです。それに対してタンパク質は胃の中でペプシンという消化酵素や塩酸で分解されますので、肉や魚は比較的早く消化されます(胃の健康を考えると糖質制限食は最高の食事法です)。
ですので、胃もたれの原因は肉や魚などのタンパク質より米などの炭水化物ということになります。「焼肉を食べたから胃もたれした」という話をよく聞きますが、それは一緒に食べていた炭水化物のせい もしくは ただの食べ過ぎです。
では炭水化物の消化を良くするためにはどうしたらいいのか。唾液に含まれる消化酵素(アミラーゼ)で炭水化物は消化されますので、よく噛んで唾液を出すことです。通常の食事では炭水化物の比率が非常に高いので、特によく噛むことを心がけてください。
また、「炭水化物を溶かす酵素をサプリメントで飲めば消化が良くなる」という文言で売っているサプリメーカーがありますが、これは嘘ですので騙されないようにしてください。外から摂り入れた酵素は体内で分解されてしまうので、体内にある酵素と同じ役割を担うことはできません。
[参考記事]
「炭水化物とは」
[補足]
糖質制限の第一人者の江部先生もステーキのような油っぽいものを食べても胃もたれはしないと言っています。
「揚げ物やステーキでは胃もたれは生じない」というのは、従来の常識では信じがたいことですが、ほとんどの人においてそうなります。
結局、揚げ物やステーキと一緒に摂取していた炭水化物で胃もたれや胸やけが生じていたのを、見た目やイメージで誤解・錯覚していたのだと思います。
「ドクター江部の糖尿病徒然日記」より引用