糖質制限と言えばまず思いつくのが「ダイエット」ですが、これは細かいことを言えば間違っています。ダイエットを「目的」とすることはいいですが、痩せたら糖質制限を止めてしまいます。糖質制限は痩せる効果が高いですので、1か月単位で考えても効果が出やすいです。
でも、ここで止めてしまったら、痩せたという結果しか残りません。私から言わせると痩せるのは当たり前で、糖質制限の意味はもっと奥にあります。
糖質制限をする真の意味は「血管を保護するため」です。「はっ??」って思うでしょうが、そういう人こそ読んでください。ここで「そうだよね。分かりますよ」と言う人はサイトを閉じましょう。
糖質制限をする意味は血管の保護
糖質を摂ると血糖値が上がることはご存知ですよね。グルコーススパイクという名前を聞いたことがあると思いますが、「グルコース(ブドウ糖)がスパイク(急に上がる)する」と言う意味です。
つまり、血糖値が急上昇するという意味です。血糖値が急速に上がると、何が問題なのか。血糖値が上がるということは下げなくてはいけませんので、インスリンが分泌されます。そうすると今度は血糖値がジェットコースターのように頂点から真っ逆さまに急降下します。この落差のことをグルコーススパイクと言っています。
ここまで説明しても「だから急降下して、何が問題なの?」という声が聞こえてきそうですが、これは大問題です。結論から言うと脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞になる可能性があるからです。少しはビビりましたか(笑)脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞になるということは動脈硬化になるということですが、グルコーススパイクは血管を傷付けて、動脈硬化を引き起すのです。
専門的にはグルコーススパイクが「酸化ストレスを増やし、血管が老化する」と言えますが、要は血管が酸化することでさび付いていくってことです。もちろん、1回の食事ではそうなりませんが、繰り返していくといずれそうなります。糖質制限は通常の食事よりも酸化ストレスがかかりませんので、血管の保護になります。「糖質制限でダイエットに成功したから終わり!」ではないのです。
では血糖値がどれくらいになるとグルコーススパイクを起こす可能性があるのか。それは180mg/dl以上だと言われています。日本人は1食100gくらいの糖質を摂っていますが、健康な人で糖質1g当たり1mg血糖値が上がると言われています。ですので、空腹時血糖値が100mgだとして、糖質を100g摂ると200mgになると予想されます。正常の人の空腹時血糖値は110mg以下ですので、血糖値が正常範囲の人でも食後はグルコーススパイクは起こっている計算になります。
これが糖尿病の人であればもっと悲惨な状況になります。60kgくらいの体重の人の場合、糖質1g当たり3mgくらい血糖値が上がりますので、100gの糖質を摂れば300mg血糖値が上がる計算になります。糖尿病の基準は空腹時で126mg以上ですので、最低でも126+300=426mg上昇することになります。はい、余裕でグルコーススパイクです。
グルコーススパイクを起こすような食事を続けていくといずれインスリンを分泌する膵臓が疲れてきます。そうすると血糖値が高いにも関わらず、インスリンの出が悪くなります。こうして、皆さん糖尿病になっていくわけです。厚生労働省が発表した「27年度国民健康・栄養調査」によると男性の2割、女性の1割が糖尿病の疑いがあるという結果が出ています。
「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性 19.5%、女性 9.2%である。
まとめ
これだけ説明すれば、何となく糖質制限をする意味が見えてきましたか?糖質制限をしてダイエット成功→終了ではないことが分かっていただけたかと思います。一番怖いのは血糖値の急上昇と急低下ということ。それによって、酸化ストレスが大きくなり、血管がダメージを負って、脳梗塞などの怖い病気を引き起こすということ。
酸化ストレスが怖いのは認知症の原因にもなることです。山田悟先生の「糖質制限の真実」と言う本に、「血糖値90mgから360mgまで急速に上昇させると脳細胞が死ぬ」という文が顕微鏡の写真と共に載っていました。脳細胞が死ぬことにより認知症になるということですが、まさか糖質が認知症を起こしているとは誰も思わないでしょう。
ちょっと脅し過ぎましたが、これは真実ですので、よく理解をしてくださいね。
[参考記事]
「糖尿病とはどんな病気か。基準値、合併症、予防など」