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糖質制限食を食べているとコレステロールは増えるの?

 

 糖質制限食は一般の食事よりも肉を食べる比率が増えるので、コレステロールが増えると思っている人が多いですが、実際にはどうなのでしょうか。

 まず、コレステロールについて誤解している人が多いので、基本的な知識として知っておいてほしいことを説明します。
①コレステロールは細胞膜の原料などに使われていますので、人体にとって必ず必要な物質です。

ではコレステロールは何に使われるのでしょうか。
例えば

筋肉などあらゆる細胞の
細胞膜の材料。
免疫細胞の膜にも必要

男性ホルモン、女性ホルモン、
副腎皮質ホルモン
などのホルモンの原料

脳や全身の神経線維の材料

胆汁酸の生成
胆汁酸は脂肪の消化に不可欠

三大栄養素である脂質の大事な材料


②コレステロールはLDLコレステロールとHDLコレステロールに分けることが出来るのですが、それぞれに役割があります。

・LDLコレステロールはコレステロールを全身の組織(臓器)に運ぶ

・HDLコレステロールは余ったコレステロールを肝臓に戻す
という役割があります。

 問題なのはHDLコレステロールが基準より少なく、LDLコレステロールと中性脂肪(内臓脂肪など)が基準より多い人です。

〇HDLコレステロールの基準値は男性が40~86mg、女性が40~96mg。
〇LDLコレステロールの基準値は70~139mg。
〇中性脂肪の基準値は50~149mg。

 以下のデータは糖質制限をしている私(男性)の血液検査結果ですが、
HDLは81
LDLは107
中性脂肪は46
と正常値です(中性脂肪は正常値より少ないですが、ほんのちょっと)。


 また、HDLコレステロールとLDLコレステロールの比率をLD比と言いますが、この数値が1.5以下であると血管内が正常な状態だと判断します。
計算式はLDLコレステロール÷HDLコレステロールです。

 先ほどの私のデータで計算をすると107÷81=1.32ですので、血管内は綺麗な状態です。私は糖質制限を1年以上実践していて、肉を毎日食べていますが、この結果です。

[補足]
 中性脂肪が多いとコレステロールにどのような変化が現れるのか。実は中性脂肪が多くなるとLDLコレステロールが小さくなり(小粒子コレステロール)、血管の壁に付きやすくなります。そうすると動脈硬化などの症状が現れ、脳梗塞や心筋梗塞などの血管系の病気になりやすくなります。

 糖質制限食を食べていると中性脂肪が少なくなることは「糖質制限の理解で必要なケトン体と糖新生とは」でお伝えしましたので、読んでみてください。

HDLコレステロールが少なく、LDLコレステロールと中性脂肪が増えすぎると動脈硬化のリスクが高まりますが、糖質制限を行うと中性脂肪が減って、HDLコレステロールが増えるので心筋梗塞を引き起こすリスクは少なくなります。
HDLやLDLの単体の数値も大事なのですが、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率(LH比)も最近注目されています。
計算式は「LDLコレステロール÷HDLコレステロール」ですが、これが1.5以下であれば問題ないですが、2.0を超えると動脈硬化の可能性が出てきます。

③コレステロールは食事から3割、肝臓で7割作られます。つまり、体内で合成されるコレステロールの方が多いのです。

 これらの比率は食べ物からのコレステロール摂取が多い場合には肝臓での合成が減り、食べ物からのコレステロール摂取が少ない場合には肝臓での合成が増えるという関係にあります。つまり、状況によって体内のコレステロールの量が安定するように調整されているのです。

 本題の糖質制限食を食べるとコレステロールが増えるかどうかですが、糖質制限食を実践する前にどのような食生活をしていたのかで変わります。普段からコレステロールの多い食事をしていない人は肝臓でのコレステロールの合成能力が強いですので、糖質制限食で脂質が多い食事をするとコレステロールは増える傾向にあります。

 しかし、先ほど説明したように、時間が経つと食べ物からのコレステロールも使うようになるので、肝臓でのコレステロールの合成量が少なくなります。ですので、長い目で見ればコレステロールは安定してきます。

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