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入院を勧められるほど重かった糖尿病が糖質制限で正常値まで改善

この記事は20代の男性に書いていただきました。

………

 糖尿病を診断されたのは、会社で受けた健康診断の折でした。それまで大きな病気などしたこともなく、また発覚したのが20歳そこそこということもあって、かなりショックを受けた覚えがあります。

 本来であれば、健康診断の結果は一か月程度経ったのちに、全員に通告されるものなのですが、私だけ受けた翌日に総務課に呼び出されました。

 健康診断ではHbA1cまでは調べないのですが、血糖値を一目見た医師が会社に即刻連絡したそうです。その時点での血糖値は400超え。

 もともと、そこまで甘いものなどは食べてきませんでしたが、父が2型ということもあって、遺伝によるところが大きいのだろう、ということでした。

 ともかく、受診が不可欠ということで、近所の糖尿病専門医が常駐する内科医を訪ねました。会社の健康診断から受診までは一週間程度あったので、その間に少しでも血糖値を落ち着けようと努力しました。それでも血糖値は230という高い数値。HbA1cも11前後ありました。

 訪問した病院で血糖値を測り、医者に最初に言われた言葉は……

「うちでは手に負えない。面識のある大学病院に推薦状を書くから、そこに行ってみて。入院する必要があるかもしれません」

というものでした。

 医師に言われるがまま、私は大学病院を受診しました。やはり大学病院は受診する人が多いのか、2~3週間程度は間が開いたように思います。

 緊張の中迎えた初めての問診。

 人の良さそうな医師から、予想していなかった言葉をもらうことになりました。

「入院できる?」

 その場では「会社に連絡しなければ分かりません」とは言ったものの、内心は相当なショックを受けながら、血液検査を受けることになりました。今回は前回から間が開いたので、かなり食生活等に気を使ったこともあり、多少の改善が見られました。

 血糖値が190前後、HbA1cは10を少し下回るか、という程度まで下げることができたのです。

 医師も順調に下げられているみたいだから、とりあえずは食事療法でやってみよう、ということになり、かなり厳しい食事制限がはじまりました。

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糖質制限は若い体にはかなり厳しかった。

 糖尿病を経験した方なら誰しもがうなずけることだと思うのですが、病院ではまずカロリー制限と塩分制限を推奨されます。塩分制限に関しては、合併症のリスクを低下させるためです。

 最初の数週間は言われるがままにカロリー制限を進めていたのですが、なかなか血糖値は下がりませんでした。しかも、極端にカロリーを制限するため、立ち眩みなどの症状も出てきてしまったのです。

 仕事にも支障をきたすようになり「どうしようか」と悩んでいるときに、ふらっと立ち寄った書店で、糖質制限食の第一人者である江部先生の著書に出会いました。

 感銘を受けた私は糖質制限をはじめることになったわけですが、これがかなり厳しいものでした。月曜日~土曜日までは会社員をしていることもあり、飲み会などに誘われる機会も多かったので、そういう意味での厳しさですが。

 どのような制限をしていたのか、具体的に挙げると。

〈朝〉

野菜スープ

〈昼〉

仕出し弁当(ごはんと炭水化物多めのおかずは取り除く)

〈夜〉

主食なしで炭水化物の少ない揚げ物など以外のおかずのみ

というように、徹底的に制限しました。

 身内以外には糖尿病の事実を言っていなかったのに、周りから病気を心配されるほどに体重は落ちていき、3か月で10kg程度は落ちたでしょうか。ただ、その甲斐あって、血糖値とHbA1cはみるみるうちに下がっていきました。

血糖値とHbA1cの推移

 私の場合、若かったから、ということもあるのかもしれませんが、結果が出るのがとても早かった印象があります。糖質制限をはじめて1か月後には食前血糖値が120、HbA1cも8前後まで下がりました。

 ただ、糖質制限をしていると、ケトン体が分泌されるのですが、血液検査から医師にはすぐに糖質制限をしていることが分かったようです。この医師は糖質制限に懐疑的ですので、「ほどほどにね」という注意をされたことを覚えています。

 それから更に1か月後には血糖値は90前後、HbA1cも6まで落ち着き、正常値とそれほど変わらないものになりました。

 糖質制限をはじめてから、たったの2か月で、合併症もなく、正常値まで血糖値を落ち着けることに成功したのです。実家暮らしということもあり、母の助力による部分もかなり大きかったと思います。

現在の食生活と血糖値

 血糖値が落ち着いてしばらく経ちますが、糖質制限はかなり緩くはなりました。しかし、糖尿病は基本治りませんので、現在でも糖質制限を続けています。

コンビニなどで弁当を買う時も、必ず炭水化物の量をチェックするようにしています。

〈朝〉

ごはん小盛(100gぐらい)

焼き魚

納豆

〈昼〉

会社の仕出し弁当(ごはんを半分にしてもらってます)

〈夜〉

唐揚げなどの惣菜

サラダ

味噌汁

 夜は主食をとらず、朝昼も量を減らすことで現在も血糖値を維持しています。少し前に診察を受けたときには、食前血糖値は90程度でした。

 また、私はお酒が大好きなので、よく会社の飲み会などにも参加しますが、そこではできるだけ病気のことなどは言わずに楽しめばいいと思っています。次の日に制限すればいい、と言えば楽観的に聞こえるかもしれませんが、無理して制限しても続かないですからね。

若くして糖尿病になって思ったこと

 どこの病院にいっても、この年で糖尿病になるなんて可哀そう、と言われます。確かに私自身、遺伝を呪ったこともありましたが、今ではそこまで悲観はしていません。

 というのも、糖質制限などを通じて、生活習慣を見直した結果、確実に以前より体の調子がよくなっているように感じるからです。

 毎年受ける会社の健康診断でも、血糖値以外の部分も、かなり良い方向に向かっています。

 結果論ではありますが、糖尿病になったことは不幸だと思いますが、自分が早くから糖尿病であったことを知ることができたのは、幸運だったと思っています。膵臓(インスリンを分泌する器官)が壊れる前に糖質を制限する習慣を付けられたことは大きな収穫です。

 私のように、若くして糖尿病になってしまった方がいても、重く受け止めすぎないでいただきたいです。

 私のように、入院を勧められた状態から早期に回復した人間もいますし、血糖値さえ下がってしまえば、他の人々と同じように生活できますからね。

[参考記事]
「グルコーススパイク(血糖値の急上昇と急低下)とは」

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