糖質制限食は脂質の割合が多いため、脳梗塞や心筋梗塞になりやすいと思われがちですが、実際にはどうなのでしょうか。
国立がん研究センターの研究を例に挙げて説明します。国立がん研究センターは「飽和脂肪酸の摂取量と脳梗塞や脳出血は関係あるのか」を約8万人を対象に11年間追跡調査を行いました。
飽和脂肪酸は肉に多く含まれているのですが、摂取量により5つのグループに分けて調査が行われました(以下の図参考)。その結果、「飽和脂肪酸が一番多いグループ」は「飽和脂肪酸が一番少ないグループ」に比べて23%脳梗塞や脳出血のリスクが下がりました。
名古屋大学と文部科学省の合同チームの研究でも飽和脂肪酸が多いほど脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも 膜下出血)のリスクが少なくなるという研究結果を発表しています。
このような研究を知らない一般の人は肉を食べると血液がドロドロになり脳卒中になりやすいというイメージを持っていますが、それは誤解だということがこれらの研究から判断できます。
次に魚の油と肝臓癌の関係について国立がん研究センターの研究を見てみましょう。
魚の油はオメガ3と呼ばれている不飽和脂肪酸ですが、これを「多く摂った群」は「少ない群」に比べて肝臓癌のリスクが少なくなるという研究を発表しています。
さらには魚油が心筋梗塞も予防することが国立がん研究センターの研究(先ほどの研究とは別の研究)から分かっています。
約4万人を対象に10年ほどかけて調査を行った結果、「魚を最も多く食べる群」は「魚をほとんど食べない群」に比べて心筋梗塞のリスクが4割ほど少なくなるという結果が導き出されました。
以下の図から分かることは魚を食べれば食べるほど心筋梗塞のリスクが少なることが分かります。
それでも、肉ばかり食べていると不安という人は魚を食べる回数を増やせばいいだけですので、是非一度緩い糖質制限から始めてみてください。